低酸素症
民間航空機の飛行高度における機外環境として、酸素分圧は地上の1/3から1/5に低下しており、下記の有効意識時間をみても極めて短時間しか生存できないことがわかります。そのため機内高度は5,000〜7,000 ftに調整されていますが、何らかの原因で機内与圧が維持できなくなった場合、十分な酸素が供給されず、低酸素症を発症する可能性があります。
酸素分圧(PaO2)の変化
大気のPaO2 | 肺胞のPaO2 | |
海面レベル | 148 | 103 |
航空機内(0.75気圧) | 108(-27%) | 64(-38%) |
機内高度における酸素分圧は海面での大気中酸素分圧と比較して27%低下しており、さらに肺胞レベルでは38%低下するが、血中酸素飽和度は90%以上に保たれる。
- 症状
呼吸器・心臓血管系・脳神経系の症状
熱感、疲労感、頭重感、視力低下、人格変化、判断力低下、言語能力低下
呼吸・心拍の増加、チアノーゼ、知能活動の低下、反応時間の低下、
協調運動の低下、けいれん、意識障害
有効意識時間(Time of Useful Consciousness)10,000 〜 15,000 ft 1時間以内 22,000 5〜10分 30,000 90秒 40,000 30秒 50,000 10秒 - 処置
機内高度が12,000 ftを超えると自動的に酸素マスクが降りてくる。
安全高度(10,000 ft以下)に下降、着陸。