加速度
加速度には直線加速度と回転加速度があり、いずれも内耳が受容器官です。前者は耳石器で、後者は三半規管で感知され、前庭神経に伝達されて中枢で認識されます。
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以下は民間航空機で経験することはまずありませんが、参考情報として記載いたします。
通常、心臓と脳は30cm離れており、静水圧がかかるため地上環境の+1Gz(垂直すなわち身体軸(z)方向の重力加速度で地上の重力が基準)では心臓と脳の圧較差は22mmHgありますが、+6Gzでは、180cm、132mmHgの差があることと同等の負荷となります。この状況においては、血圧が120mmHgとすると、脳のレベルではマイナスになってしまうことを意味します。
重力加速度の程度、増加率により、網膜虚血が起こり、以下の病態が発生します。
+3〜4Gz:
周辺視野から狭窄、グレイアウト(視界の色彩を失う)、ブラックアウト(視覚を失う)
+5Gz以上:
G-LOC(重力加速度で生じた脳虚血による意識消失)
予防法:
耐G服(空気圧による静脈還流の促進)、後傾座席(Gzの軽減)、耐G動作(バルサルバ法を基にした血圧維持法と特殊な呼吸法)、陽圧呼吸装置(耐G動作の補助)、筋肉トレーニング、耐G訓練(遠心力発生装置を用いた訓練、下図)

加速度を生み出す装置の回転するアームの先に設置されたゴンドラに訓練生が乗り、訓練する。